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その名も「サンシャインサプリ」
セントジョーンズワート
主成分:ハイペリシン
○効能:抗うつ効果、ストレス緩和効果
×副作用:大きな副作用はない
心臓病治療薬、経口避妊薬、血液抗凝固剤、抗うつ薬と併用しない

現在、薬局や健康食品店の棚の一角を必ず占めているのが、「セントジョーンズワート(略称、セント)」なる人気サプリ。
和名の「セイヨウオトギリソウ」で理解している人もいるだろう。
アメリカでは「サンシャインサプリ」と呼ばれ、売れに売れている。
抗うつ効果やストレス緩和効果が高いといわれれば、大人気も当然か。
アメリカ・コロラド州在住で弁護士のウエンディさんは、心配、緊張、気分の落ち込み、さらには睡眠障害に悩まされていた。
また、積極性に欠け、ぐずぐずしていた。
そこでクリニックを受診し、さまざまな治療を受けた。
トリミプラミン(1日75ミリグラム)、バスピロン(1日90ミリグラム)、ネファゾドン(1日100ミリグラム)、ガバペンチン(1日800ミリグラム)。
どれも、よく使われる抗うつ薬である。
だが彼女は、記憶障害や疲労などの副作用に襲われて服用の中断を余儀なくされた。
ストレスと不安をやわらげるカバや、片頭痛の予防に利用されるフィーバーフューといった天然ハーブのサプリも試してみたが、助けにならなかった。
失敗の連続で治療にすっかり懐疑的になっていたとき、デューク大学医学部のジョナサン・デービッドソン教授の熱心な勧めもあり、彼女は1日900ミリグラムのセントジョーンズワート摂取を受け入れた。
この処方は功を奏し、ウエンディは少しだけ快方に向かった。
そこで、セントジョーンズワートの摂取量をそれまでの2倍の1日1800ミリグラムまで増やすと、大幅に症状が改善された。
かつてのエネルギーがもどった彼女は積極的となり、夫との性生活が回復。
また、イライラや怒りっぽさも減ったのである。
セントジョーンズワートはウエンディに驚くほどの抗うつ効果を発揮したのだが、副作用はまったくあらわれなかった。
ドイツでは抗うつ薬より優先
ウエンディに見られたセントジョーンズワートの画期的な効果が、偶然ではないとどうしていえるのか。
1996年、ドイツのクラウス・リンデ教授は、セントの抗うつ効果について、
ランダム化(サプリや偽薬=プラシーボを服用するグループを無作為に振り分けること)、
二重盲検試験(医師も患者もだれが本物のサプリを飲んでいるのかをわからなくした試験法)
によって得られた治験(臨床試験)データに「メタアナリシス」を実行し、その結果を「イギリス医学雑誌」に発表した。
「メタアナリシス」とは、過去の複数の治験データをまとめて統計処理を行い、薬の効果を判定する手段である。
リンデ教授は、セントジョーンズワートの効果を調べるために行われた1757人の被験者が参加した総計23件のランダム化、二重盲検試験による治験のデータを細かく分析・検証したのである。
ほとんどの治験には、セントの抗うつ効果の有効成分であるハイペリシンという物質を0.3パーセント含んだ抽出物が利用された。
メタアナリシスによって、こんな結果が得られた。
セントジョーンズワートを摂取した被験者でうつの改善が見られたのは55パーセント、一方、偽薬は22パーセントにすぎず、両者には30パーセント以上もの差があった。
通常、偽薬を摂取したうつ薯の改善率は25〜45パーセント、抗うつ薬では50〜75パーセントと報告されている。
リンデ教授が精査した8つの論文は、セントジョーンズワートと抗うつ薬の効果を比較しており、セントジョーンズワートのうつ改善率は64〜68パーセント、一方、抗うつ薬の改善率は50〜58パーセントと報告されている。
すなわち、セントジョーンズワートはアミトリブチリン、イミプラミン、プロザックなど、一般に処方されている抗うつ薬に少しも劣らなかったばかりか、これらの処方薬に比べて、安全性が高く、副作用が少ないという点で勝っていたのである。
こういった理由から、現在のドイツでは医師の70パーセントが、うつ治療に抗うつ薬よりセントジョーンズワートを優先的に処方している。
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