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甲状腺機能や免疫力を高める
ヨウ素は甲状腺ホルモンの生産に欠かせないミネラルである。
そして、セレンが不足すると、ヨウ素不足が悪化するのだ。
甲状腺は、ごく少量の活性なホルモンT3と大量の不活性なT4を放出する。
T3にはヨウ素が3つ、T4には4つ付いている。
T4からヨウ素を1個取り除くことによって、活性なT3をつくり出すのが、甲状腺ホルモン脱臭素酵素の役割である。
これは小規模での治験結果だが、高齢者にセレンを摂取してもらい血中のT4レベルを測定したところ、減少していたという。
このことから、甲状腺ホルモン脱臭素酵素の活性が高まり、T4からT3への変換が起こったことがわかる。
セレンが不足すると、免疫力が低下することもわかっている。
それほど不足していない人でも、セレン摂取によって免疫力が高まるという報告がいくつもある。
そのひとつは、ニューヨーク大学歯学部のロイ教授が1994年に雑誌「微量元素の生物学研究」に発表した論文だ。
それによると、1日200マイクログラムのセレンを8週間摂取したグループは、偽薬グループに比べて免疫系でウイルスやバクテリアといった病原体と戦う白血球が著しく増加していたという。
不足するとウイルス毒性が強化
セレンが不足すると、ウイルスの毒性が強まることもわかっている。
セレン不足のネズミにコクサッキウイルスというほとんど無害の病原体を接種すると、ウイルスの遺伝子に突然変異が起こり、毒性のいっそう強いウイルスに変身するのだ。
この変異ゥィルスが心筋に炎症を起こし、心臓マヒを発生させるという。
怖いのは、この変異ウイルスはセレンの不足していない通常のネズミにさえ心臓マヒを発生させることである。
したがって、ウイルス感染の毒性の強化は、ネズミの免疫系の弱体化によるものではなく、ウイルス遺伝子の突然変異の結果であることがわかる。
遺伝的にグルタチオンベルオキシダーゼをつくれないネズミを作成し、このネズミにウイルスを感染させると、心臓マヒが発生する。
このことから、グルタチオンベルオキシダーゼが心臓マヒを防いでいることがわかる。
セレン不足とウイルスの突然変異にはどんな関係があるのか。
私はこう推測している。
セレン不足によってグルタチオンベルオキシダーゼの活性が落ちて、免疫力が低下する。
そうなると、ウイルスが長く生きるため突然変異を起こすチャンスが増える。
ウイルスの突然変異は時間とともに飛躍的に増えるからである。
突然変異が起これば毒性も強まるし、彼らはそうたやすく死ぬことはなくなる。
じつは、「克山病」患者の血液中からもコクサッキウイルスが分離されている。
すなわち、克山病の発生するおもな要因はセレン不足であるが、副要因は、ふだんは温厚なコクサッキウイルスの感染という結論になる。
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