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がん抑制効果あり
セレンのおもな役割は、セレノプロテインという酵素群の成分になることだ。
これまでに11個以上のセレノプロテインが発見されているが、その代表はグルタチオンベルオキシダーゼと甲状腺ホルモン脱臭素酵素である。
グルタチオンベルオキシダーゼは、がんや老化の原因のひとつとされる活性酸素を分解する。
こういうことだ。
栄養素が酸素によって燃やされてATPができる際に、副産物としてどうしても活性酸素ができてくる。
この活性酸素の代表が、過酸化水素や脂肪が酸化されてできた過酸化脂肪である。
これらの毒物を分解するのが、グルタチオンと酵素グルタチオンベルオキシダーゼのチームなのだ。
セレンはこの酵素の中心に座り、毒物分解のエースとしてはたらく。
もしもセレンが欠乏すると完全なグルタチオンベルオキシダーゼがつくられないから、過酸化水素や過酸化脂肪が生き残り、遺伝子や組織を傷つけることになる。
遺伝子に傷がつくと突然変異が起こりやすくなるから、がんへの階段を一歩、登ることになる。
細胞や組織が傷つくことは老化現象にもなる。
要するに、セレンは活性酸素という悪党の分解をサポートするのだ。
遠巻きに見れば、がんや老化予防といえなくもないが、これでは推測の域を出ない。
この推論に明快な答えを出したのが、コーネル大学のコーム教授だ。
1997年、「生物医学誌」に掲載された論文を紹介しよう。
教授は、1983年から1990年にかけ、皮膚がんから回復した1312人を対象に、毎日200マイクログラムのセレンを摂取するグループと偽薬グループを追跡した。
その結果、セレングループではあらゆるがんによる死亡率が減少していたうえ、とりわけ前立腺や肺、大腸がんの発生率が大きく低下していた。
先のセレンによるがん予防の推論を裏づけた形だ。
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